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五常 智
ゴジョウ チ
作者名
湖龍斎 (礒田 湖龍斎)
作者名ヨミ
コリュウサイ (イソダ コリュウサイ)
代表明細・シリーズ名称
五常
落款等備考
制作者備考
未生
印章等
印章注記
時代区分
安永3年
西暦
1774
形態
中判
種別1
木版浮世絵
種別2
錦絵
種別3
内容1
子ども絵
内容2
手習い絵 母子絵(姉と妹)
内容3
姉と妹(少女) 手習い 習字 天神机 五常 萩
追加情報
テーマ
具体物
位置付け
画中の文字・文章
備考
五常をテーマとする5枚揃の「智」である。五常は儒教で人が守るべきとされる五つの
道徳であり、仁・義・礼・智・信からなる。これは「智」であり、添えられた歌に「道しある
世に生れなばをのつからひとつをしらば十もしらなん」とあり、手習いに励んで智恵
理解力、判断力を養う必要性を説いている。
姉妹が末の妹に手習いを教えており、中の娘も眺めている、美しい三姉妹が智を
磨く場面である。天神机の上には、向かって右から折手本、手習草紙(手習帳)
硯箱、墨、水滴が置かれている。折本には「此ほどはゆるりゆるりと」とあり、手紙の
例文である。紙が貴重だっただけに手習草紙は重ね書きされ、まっ黒くなりつつある。
左の脇には、使い終った手習草紙が折り重ねてある。庭には秋の七草の一つ萩。
家庭での手習い場面を描いた江戸中期の作品として貴重。この頃まで女性を家から
出して寺子屋で学ばせるのをきらい余裕のある家では家庭で教える傾向があった。
・五常をテーマにした同じような作品が、鈴木春信にもある。
・落款はないが、作者は磯田湖龍斎。
・姉から手習いの手ほどきを受ける妹。お手本には「此ほど(程)はゆるゆると」とあり
「五常」とは儒教の教えで、人が常に守るべき五つの道徳「仁・義・礼・智・信」をいう。
儒教は中国、春愁時代の思想家・孔子の教え。日本の道徳、政治思想に大きな影響を
与えた。「仁」はいつくしみ、おもいやり、博愛、慈悲。「義」は道理、物事の理にかなった
こと、人間の行うべきすじみち。「礼」は人間の最も重要な道徳的観念としての礼儀。
「智」はものごとを理解し、是非・善悪を弁別する心の作用、知恵。「信」は欺かないこと
信用すること。この作品はその五つの言葉に題をとった5枚シリーズの1枚となる。
落款(署名)がないが、春信によく似ている。ところが題も同じ「智」で春信落款の作品が
東京国立博物館所蔵にある。比較すると春信の作を湖龍斎は透視遠近法。傍らで見る
少女のポーズが変えられている。添えた短歌は「道しある世に生れなばをづからひとつを
しらば十もしらなん」
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