「子供あそび」は昇雲の子ども絵の代表作で、男女の四季のさまざまな遊びが描かれている。「四季のながめ」とちがい、登場するのは子どものみの作品が多く、母がいても背後で子どもを見守る存在だ。また男子の元気な遊びが多いのと、日露戦争を反映した遊び風俗が見られるのも特色だ。

広々とした神社の境内で、子どもたちがのびのびと遊んでいる。手前の二組は、木の胴に鉄の心棒をつけた博多ごまで勝負をしている。左の組は、回り始めたこまへ、右手を振りかぶった子がこまをぶつけようとしており、当たって倒れた方が負け。右の組は「用意どん！」で回したこまの、どちらが長く回り続けるかを競っている。右の子は軍帽にぞうり、足袋もはいている。他の三人は下駄だ。絵馬のかけられた社殿では、読書に夢中の少年に、床下から近づいた子がそっと下駄を取ろうとしている。

明治後期の遊びを中心にした子ども風俗がよくうかがえる。特に男子の遊びには日露戦争の反映が見られる。

山本昇雲（明治３年（１８７０）～昭和４０年（１９６５））は高知県出身、上京後報道画家として『風俗画報』の口絵・さし絵を描くとともに、日本画家、浮世絵師としても活躍した。最後の浮世絵師とも称され「今すがた」や「子供遊び」のシリーズは、近代浮世絵版画の代表作とされる。明治の子ども風俗、女性風俗をたくみに描いた作品が多い。「四季のながめ」は１２点まであることが確認されている。
鉋くずの笛を「東京風俗誌」ではラッパと呼んでいる。「江都二色」では鉋屑笛。
セルロイドの文化笛に関しては、「別冊太陽・子ども遊び集」に記載あり。