シリーズ名に「子供風俗」とあり、明治二十年代の子ども風俗を、遊びを中心にけいこ事や年中行事、お手伝いなども折り込んで描いてある。

「ちんちんもがもが」は、片足で跳び歩く「けんけん」のことで、「あしこぎ」ともいう。「ちんちんもがもが、おひゃりこひゃーりこ」と歌い歩いたり、速さを競ったりした。上げた足の足首を片手で握り、押し合って勝負することもあったが、この絵では、ただけんけんで歌い歩いているようだ。後ろの幼い少女二人は、後ろ髪も前髪と同じところで切りそろえており、右の子は長い胸当てをつけている。よい屋敷の庭のようで、松の影に大きな石灯籠が据えてある。「遊べ展」解説参照。

明治二十年代の子ども風俗が、遊びを中心によくうかがえ、江戸時代から大正の近代へと変化する過程を読み取ることができる貴重な資料。
子どもたちの着物の柄にも明治らしさが感じられる。