渓斎 英泉
新板娘庭訓出世双六:新板娘庭訓出世雙六
弘化頃 (1844-1848)
資料名1
新板娘庭訓出世双六:新板娘庭訓出世雙六
史料名1よみ
しんぱんむすめていきんしゅっせすごろく
史料名Roma1
shinpanmusumeteikinshussesugoroku
絵師・著者名
渓斎 英泉
Creator
落款等備考
東都 渓斎英泉画
板元・製作者
和泉屋市兵衛
制作年和暦
弘化頃
制作年西暦
1844-1848
書誌解題
資料名1
新板娘庭訓出世双六:新板娘庭訓出世雙六
資料名2
史料名1よみ
しんぱんむすめていきんしゅっせすごろく
史料名2よみ
史料名Roma1
shinpanmusumeteikinshussesugoroku
史料名Roma2
Title
Alternative title
シリーズ名・代表明細
新板娘庭訓出世双六
絵師・著者名
渓斎 英泉
絵師・著作者名よみ
えいせん  (けいさい えいせん)
Creator
管理No.
00000426
管理No.枝番号
落款等備考
東都 渓斎英泉画
板元・製作者
和泉屋市兵衛
彫摺師
制作年和暦
弘化頃
制作年西暦
1844-1848
制作年月
書誌解題
判型・形態
印章の有無
印章内容
複製フラグ
種別1
木版浮世絵
種別2
錦絵
種別3
内容1
おもちゃ絵
内容2
ゲーム 日常生活
内容3
双六 女子 女性 生涯 職業
テーマ
「娘庭訓」とあるように、家庭で親が娘に教えなければならない教訓をのべ、女性の出世の道を説いた双六である。「ふり出し」のところに「幼きときは、白き糸のごとし、ものに染まりて次第に色々になる。ふり出しを慎しむべし」とあり、少女期の家庭教育の重要性を強調している。よき花嫁、女房になるか、御殿務めが出世とされている。
具体物
「ふり出し、おどり小娘」とあり、ここで「一」がでると「きむすめ」に進み、続いて「一」だと「花嫁」、ここで「三」だと「手習師匠」になり、「四」で「御局」に出世する。「ふり出し」で「二」だと「おてんば娘」で、ここで「一」が出ると「飯盛り女」、次に「六」なら「はっち(乞食坊主)」に落ちる。「上り」は、裕富な家庭の「極楽隠居」で、おおくの女性たちにかしずかれている。その左右の枡目は、御殿仕えの「御局」「お中老」「お召し使い」と、上流商家の妻「御新造」となっている。
Comments
位置づけ
江戸時代の女性に対する教訓と同時に、当時の女性の職業に対する評価を見ることができる。
讃・画中文字
新板娘庭訓出世雙六
*振り出しと上がりを除き、下段右より上段への順に翻字。
東都 渓斎英泉画
江戸芝神明前三島町
和泉屋市兵衛板
【一段目】
○ふりだし    おどり子娘
①きむすめ   ②おてんば娘
③花よめ ④女房
⑤めかけ ⑥おめしつかひ
人うまれてをさなきときは、おやのそだてにありといへとも、たとへていへば、白きいとのごとし。ものにそまりしだいにて、いろ  になることゆゑ、うか  とはせましきなり。一代のふりだしをつゝしむべし。

○子もり
②火たきぼうこうのおさんどん
④いつかてゝなし子をうんで、おうばどん
⑥しとやかもので、おすゑ

○めかけ
②しあはせよく女房
④川だちは川でやりて
⑥こゝろだてがよくてごしんぞ

○おてんば娘
①そだちがわるくてめしもり女
③はすはものゆゑ、茶やをんな
⑤きりやうのぞみでめかけ

○茶屋をんな
②みもちあしければ、たこくへいつてめしもり
④はたらきをはなにかけて山のかみ
⑥としとりてやりて

○中ばたらき
②こぼんなうゆゑ、子もりになる
④ふしあはせ、ふうふわかれでおんば
⑥さうおうなところへ女房

○とりあげ
②とりあげがとしよりすぎてはつち
④口やかましいしうとめ
⑥金をためてはりいしや

【二段目】
○きむすめ
①きりやうのぞみで花よめ
②よき人の目にかゝりおめしつかひ
⑤よきゑんだんで女房

○花よめ
①いつかしうとめ
③としとつて手ならひしせう
⑤りはつものゆへごしんぞ

○やり手
②心がけあしく、はつち  とあるく
④かゝる子もなく、のりや
⑥ていしゆをおいどの下にしいて山のかみ

○のりうり
①こしがまがつて、ばつち
③ゐんがにや、めがつぶれてごぜ
⑤人に貰た子がりつしんして、おもひがけなくらくゐんきよ

○ごぜ
このところにはでることならず。めがふじゆうで、りやうぢきんをつかれ、おどり子かへり、あらたにふりたしでなをし。

○しうとめ
①よめやむすこをいびり出してはつち
③ぞんきものむぢひでとりあげ
⑤こゝろだてよく、らくゐんきよ

○女房
①りやうけんちがひのふしまつではつち
③おとなしきうまれゆへ、ごしんぞ
⑤げいゆへにごけになつて、手習ひしせう

○おすゑ
①ほうこうのむかしこひしき、山のかみ
③どういふいんねんでか、ちや屋をんな
⑤おめにとまつてすぐに中ろう

【三段目】
○おうばどん
②たび  のさんになれて、とりあげ
④のりや、
⑥子をたいせつにして、ごしんぞになる

○やまのかみ
②女のくせに大酒のみ、さけのうへわるく、のちはばつちぼうず
④ていしゆとてん  かせぎ、とりあげ
⑥きちがひじみたかんしやくもち、てうどやりてにもつてこい

○はりいしや
①わかいときからみもちがわるく、のりや、
③てならひしせう
⑤あまいははつちぼうず

○はつち
このところはでることならず、ゐすはりなり。されどもしまひには、そだてたむすめがしゆつせして、らくゐんきよさまよりこうりよくをうける。

○手習師匠
②はりいしやにはましだが、おはりさん
④おつぼねほうこう
⑥ちやのみともだちの女房

○めしもり女
②としよつて、やりて
④そうどくで、ごぜとなる
⑥こゝろがけがわるくはつち

○おはり
①ふしあはせで、はつちぼうず
③こゝろだてがわるくて、やりて
⑤山のかみのくされゑん

○おさん
②りちぎゆへ、なかばたらき
④てゝなしごで、おうばどんにでる
⑥うぢなくて玉のこしのごしんぞ

【四段目】

○おつぼね
①おつぼねをさがり、手ならひしせう
③しあはせわるく、のりや
⑤人からもかくべつ二度めのごしんぞ

○御しんぞう
①しうとめ
②はつち
③らくゐんきよ
④おはりさん
⑤はりいしや
⑥のりうり

○お中老
①しゆびよくおいとまをいたゞき、おいしやさまへ花よめ
②出世しておつぼね
⑤ごしんぞ
⑥らくゐんきよ

○おめしつかひ
②としひさしくつとめて、おつぼね
④こゝろだてがわるくつて、はつちぼうず
⑥よいお子をもつて、らくゐんきよ

○上り
万福長者極楽隠居
(小泉吉永氏翻刻)
自由記入欄
遊び方「飛び双六」、ただし「ごぜ」「はっち」に来ると「でることならず」となる。
・現在では分かりにくい職業。「中ばたらき」→奥女中と下女の間で雑用をする女中。「とりあげ」→産婆。「やり手」→遊女のめんどうを見る女性。「ごぜ」→盲目の門付女性。「おすえ」→下女。「おうばどん」→乳母。「やまのかみ」→口うるさい妻。「はりいしゃ」→鍼医者。「はっち」→鉢坊主、乞食坊主。「めしもり女」→宿屋の非公認遊女。「おはり」→針仕事をする女性。「おさん」→台所仕事をする女中。
・女性が心がけ次第で幸、不幸、さまざまな一生を送るように、たくみに構成されているが、この双六にはお手本がる。それは「新販女庭訓振分双六」(東西菴南北作、勝川春扇画、若狭屋姉版)で、判形、内容構成、台詞ともほぼ同一である。ただ各枡目の絵が春扇の作品では女性の大首絵になっている。春扇は文政3年頃に春好二代をついでおり、この作品はそれ以前の作である。
史料分類
絵画