一鳳斎 國明(歌川 国明:二代)
いろはたとへ双六
安政6年 (1859)
資料名1
いろはたとへ双六
史料名1よみ
いろはたとえすごろく
史料名Roma1
irohatatoesugoroku
絵師・著者名
一鳳斎 國明(歌川 国明:二代)
Creator
落款等備考
一鳳斎 國明画
板元・製作者
辻岡屋文助
制作年和暦
安政6年
制作年西暦
1859
書誌解題
資料名1
いろはたとへ双六
資料名2
史料名1よみ
いろはたとえすごろく
史料名2よみ
史料名Roma1
irohatatoesugoroku
史料名Roma2
Title
Alternative title
シリーズ名・代表明細
いろはたとへ双六
絵師・著者名
一鳳斎 國明(歌川 国明:二代)
絵師・著作者名よみ
2だい くにあき (2だい いっぽうさい くにあき/2だい うたがわ くにあき)
Creator
管理No.
00000971
管理No.枝番号
落款等備考
一鳳斎 國明画
板元・製作者
辻岡屋文助
彫摺師
制作年和暦
安政6年
制作年西暦
1859
制作年月
書誌解題
判型・形態
(間倍判)
印章の有無
年月改
印章内容
複製フラグ
種別1
木版浮世絵
種別2
錦絵
種別3
内容1
おもちゃ絵
内容2
ゲーム 日常生活
内容3
双六 いろは
テーマ
江戸後期に流行した「いろはかるた」の代表作「犬棒かるた」を絵双六にしたもの
である。題に「いろはたとへ」とあるが、これは「いろは譬喩」と書き江戸中期から
「いろは」四七文字に「京」を加えた四八文字を、句の始めに読み込んだ子ども
向きの歌を指す。これに教訓的なことわざを織り込んで、江戸で「犬棒かるた」が
生まれた。本品は、「犬棒かるた」を双六にし、古くからの「いろはたとへ」を題に
している。
具体物
「ふり出し」は、「いぬもあるけば・・・」であり、絵は犬に棒が倒れかかっている。
以下、四十七文字ごとにおなじみの歌を記し、絵を添えてある。ただ「れ」は
普通「良薬は口に苦がし」だが、本品は「礼ぎすぎてふれいとなる」になっている。
また「え」と「ゑ」が逆になっており、先に「ゑ」(ゑんはいなもの)が出て、後で
「え」(ゑてにはうあげ)が来る。48番目の「上り」は「京のゆめ大阪の夢」で
うたた寝の男がえびす大黒が小判を打ち出すめでたい夢を見ている。
Comments
位置づけ
「いろはかるた」は関西で生まれ、江戸後期に江戸で「犬棒かるた」となって
流行したとされる。しかし、江戸期の「いろはかるた」も「いろは双六」も、完品は
ほとんど残っていない。
公文では、芳藤のおもちゃ絵「いろはかるた」(管理No.1371ー000)と、この双六
の双方を貯蔵しており、「犬棒かるた」の普及ぶりを示す貴重な資料である。
讃・画中文字
いろはたとへ双六
*振り出しと上がりを除き、下段より(いろは順に)翻字。ただし後人の書き入れは翻字せず。
【一段目】
○ふり出し
(い)いぬもあるけばほうにあたる
①は、②か、③ろ、④ほ、⑤ぬ、⑥に
一風斎国明画 辻岡屋文助板

(ろ)ろんよりしようこ
①に、②と、③ぬ

(は)はなよりだんご
②に、④よ、⑤ろ
大たんご

(に)にくまれ者のよにはゝかる
①と、③ね

(ほ)ほねをりそんのくたぶれもうふけ
④を、⑤や、⑥み

【二段目】
(へ)へをひつてしりつぼめ
①ち、④ほ、⑤に

(と)としよりのひやみす
①ふ、③け、⑥と

(ち)ちりもつもれは山となる
③ね、⑤ふ、⑥の

(り)りちぎ者の子だくさん
①へ、②ち、④に

【三段目】
(ぬ)ぬす人のひるね
①へ、④て、⑥や

(る)るりはりもてらせばひかる
②こ、④て、⑤ゑ

(を)おいてはこにしたかひ
①る、②は、③め

(わ)われなへにとじぶた
①あ、②た、③は

(か)かつたいのかさうらみ
④ほ、⑤ま、⑥け

(よ)よしのずいから天のぞく
②す、⑤て、⑥く

【四段目】
(た)たびは道つれ、よはなさけ
④し、⑤く、⑥よ

(れ)礼ぎすぎてふれいとなる
④ぬ、⑤ふ、⑥の

(そ)そうりよのじんろく
①を、⑤け、⑥ね

(つ)つきよにかまをぬく
①こ、②せ、③ち

(ね)ねんにねんをいれ
②ら、③み、④て

(な)なきつらにはちがさす
②む、③さ、⑤う

【五段目】
(ら)らくあればくあり
①ゆ、②あ、③や

(む)むりがとふれば、とふりひつ込
②な、⑤り、⑥あ

(う)うそからでたまこと
①は、⑤む、⑥ほ

(ゐ)いものにへたもごぞんじなし
①ち、②ろ、③み

(の)のどもとすぐれは、あつさはすれる
④な、⑤か、⑥ら

(お)おににかなほう
①ら、②ひ、③は

【六段目】
(く)くさいものにはふたをしろ
①そ、②わ、③ひ

(や)やすものかいのぜにうしない
①つ、②せ、③ね

(ま)まけるがかち
②ゆ、④ひ、⑥も

(け)げいわ身をたすける
③ぬ、⑤れ、⑥ふ

(ふ)ふみはやりたし、かくてはもてす
①な、②め、④ゑ

(こ)こはさんがいのくびかせ
①め、②へ、④ね

【七段目】
(ゑ)ゑんはいなもの、あじなもの
①こ、②い、③と

(て)てい主のすきなあかゑほし
④う、⑤い、⑥か

(あ)あたまかくして、しりかくさず
①わ、②め、③て

(さ)三へんまはつて、たはこにしよ
④と、⑤き、⑥け

(き)きいてこくらく、見てじごく
①こ、⑤る、⑥よ

(ゆ)ゆだんたいてき
②た、③も、④さ

【八段目】
(め)目のうへのこぶ
④の、⑤る、上り

(み)身からでたさび
④く、⑤お、⑥つ

(し)しらぬがほとけ
①や、③め、⑤た

(え)ゑてにはうあけ
①も、②上り、③ふ

(ひ)びんほうひまなし
②す、④あ、⑥を

(も)門前のこぞう、ならはぬきよをよむ
①上り、③ま、⑤れ

【九段目】
(せ)せにはらはかへられぬ
①お、②上り、③の

(す)すいは身をくう
②上り、④か、⑥せ

(上り・京)京のゆめ、大坂の夢
(小泉吉永氏翻刻)
自由記入欄
遊び方「飛び双六」
・絵師は一鳳斎國明とあるが、国明は兄弟絵師であり、ともに一鳳斎の雅号を用い
作画期も兄が弘化~慶応、弟が嘉永~明治である。安政6年にはともに活動して
おり、初代か二代かは確定できないが、画質から二代か。

・芳藤のおもちゃ絵「いろはかるた」とは、歌も絵もほとんど同じであり、芳藤も「れ」は
「礼ぎすぎて・・・」である。ただ、「え」と「ゑ」は芳藤が正しい順だ。また、芳藤では
「す」がはぶかれているが、ここではきちんと入っている。
「す」が「すいは身をくう」で、「遊里のわけ知りの粋人は金もかかる」の意味だけに
おもちゃ絵でははぶいたようだ。
史料分類
絵画