その2

浮世絵は
分業がなせるわざ

浮世絵は、絵師・彫師ほりし・摺師、そして版元の力が一つとなってできるものです。 版元がどのような絵をつくるかを決め、まず絵師にはん下絵をいてもらいます。 その下絵をもとに彫師ほりしが版木を彫り、黒の輪郭線を摺る主版おもはんと、色分けされた色はんを作ります。

全てのはんがそろうと、摺師は絵師と版元の指示のもと、 和紙に一色ずつ色を摺り重ねて、一枚の絵が完成します。

絵師

彫師ほりし

摺師

版元

どんな絵を作るか計画し、実際に仕事をする絵師・彫師ほりし・摺師に指示を出す人。 完成した浮世絵を一般の人たちに販売もします。喜多川歌麿や東洲斎写楽らの多くのヒット作を生み出した、蔦屋重三郎じゅうざぶろうが有名です。

蔦屋重三郎じゅうざぶろうの肖像画

箱入はこいり娘面屋人魚』挿絵 山東京伝著/歌川豊国とよくに画 寛政3年(1791)※国会図書館所蔵本より

版元の店先の様子

今様見立士農工商 商人(三代歌川豊国とよくに)安政4年(1857)

絵師

浮世絵のもとになるはん下絵を描く職人。みなさんが「浮世絵師」と呼んでいるのは、この絵師のことです。
色のついた完成図を頭の中でイメージして、実際は絵の輪郭線部分だけを描きます。

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はん下絵を描く

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はん下絵完成

彫師ほりし

絵師が書いたはん下絵を堅い山桜の木の板に貼り、線に沿って彫り、はんを作る職人。
彫師ほりしははじめに黒一色の輪郭線を摺るための主版おもはんを彫ります。
この主版おもはんはん下絵を数枚複写したもの(校合ずり)をもとに、使う色の数だけ色はんを作ります。

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はん下絵を版木に貼る

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主版おもはんを彫る

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主版おもはん完成

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色分け(絵師の仕事)

完成した主版おもはんを摺って数枚複写したもの(校合ずり)に絵師が色ごとに朱色で指定していく。

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はんを彫る

絵師の作成した校合ずりはん下絵と同様、板に貼って色はんを彫る。

摺師

彫師ほりしが彫り終えた版木に絵の具をつけて摺る職人。
最初に摺るときは、絵師と版元の指示を受けながら色を合わせて摺ります。

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擦る

版元・絵師の色指定に従い、一色ずつ塗り重ねる

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完成

※制作過程写真は、公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団より提供